ベトナム人女性と結婚するとなると、ベトナム人の生活様式が気になるところです。
まず、定量的な統計データからベトナム生活の「今」を分析して、定性的で一般的なベトナムの生活様式や生活感覚を解説します。具体的には、金銭感覚、電化製品、車などの耐久消費財を取り上げます。
1.ベトナム人の生活実態
日本貿易振興機構(ジェトロ)の2020年版ベトナム家計生活水準調査を見てみます。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/06/a8fdd777d36d258a.html
1人当たり月間平均所得
https://www.jetro.go.jp/view_interface.php?blockId=31972013
2020年の1人当たりの月間平均所得は、10年間で約3倍(年率約11.9%の伸び)になっています。都市部と農村部では、農村部の伸びが大きいですが、都市部と農村部との間には大きな格差(約1.6倍)があります。食生活(月間消費量/人)は、肉の消費量が1.8㎏から2.3㎏に増え、ワインやビールは、2018年の0.9リットルから、2020年には1.3リットルに増加しました。
<ポイント>
所得倍増というスローガンがありますが、ベトナムでは、3倍です。すさまじい経済成長を遂げています。生活の質も年々、あがっているのがわかります。ここ何十年も、変化が少ない日本とはかなり違っています。
(1)ベトナムの家電製品
現在は、ベトナムでも日本の家電は買えます。家電量販店でも買えますし、デパートにはメーカーの直売コーナーもあります。日本で売り始めた最新のものは買えませんが、日本品質を求めるのであれば問題なく購入することができます。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/07/8ceda13ce38716f0.html
家電の保有台数は、エアコンが2018年と比べ15.3%増の51%となりました。洗濯機は9.6%増の54.3%、冷蔵庫は6.8%増の85.4%に。テレビは4.8%減の96.1%となりました。
自動車は1.5%増の4.8%と、依然として普及が進んでいませんが、二輪車は12.5%増となりました。
<ポイント>
テレビは、ほぼ100%の家庭にあり、エアコンも50%ですが、自動車の所有が少ないのが特徴です。テレビ以外は、日本より所有がすすんでいないのがわかります。
(2)バイクと車
ベトナム人のメインの交通手段はバイクです。道路の交通量が非常に多くて、小回りの利くバイクが好まれています。ベトナムで圧倒的人気があるメーカーは、ホンダのバイクです。
ベトナムでは排気ガスによる環境悪化対策として、車の購入抑制がかけられ、高額な税金が課されています。以前は、車を持っているのは高所得者層のみでした。しかし、最近は中間層の車の所有も増加し、車を所有する家庭が増えてきました。そんな中で人気の日本車としてトヨタがあげられます。トヨタ人気は、日本と同じです。
<ポイント>
ブランドの好みは日本と同じ、バイクは、ホンダ、自動車は、トヨタです。自動車を所有しても道路などのインフラが整っていないので、バイクの所有が多いです。ベトナムは、まだ、発展途上であると言えそうです。
2.日本人とベトナム人の金銭感覚
(1)地域ごとの違い
ベトナムは、南北に長い国で、地域で気候が異なります。地域により金銭感覚に違いがあるようです。
・北部
ハノイなどベトナム北部では貯蓄をする習慣があります。子供の進学や家の建築の費用などです。
・南部
ホーチミンなど南部は、暖かく、野菜、果物、魚介類の食べ物が豊富にあります。食べ物に困ることはありませんでした。他の南国の国と同じく、給与が入ったら、使ってしまう傾向がありました。
・中部
ベトナム中部は、漁港が数多くあることから、海の幸が豊富にあります。そのため南部と同様に貯金をする習慣はあまり、ありませんでした。
<ポイント>
日本が、世界的にも貯金率の高い国で、日本と比較するとどうしても、貯蓄感覚が低いということになります。ただし、最近の貯蓄率の統計を見ると、日本の貯蓄率は低下傾向にあり、近い将来、ベトナムと日本の貯蓄率は、かなり近づいてくるかもしれません。
(2)女性
ベトナムは、男性優位社会ですが、家庭では女性に権限があります。女性は、家族に対する愛情が強くて家族を優先的に考えます。女性は、男性よりも金銭感覚はきびしく、無駄遣いをすることも少ないのですが、子供の健康につながるなど、家族のためなら、思い切ってお金を使うという傾向にあります。このような、考え方は、依然として、いまだに日本にも根強くありますので、両国の違いは少ないように思います。
(3)お金は家族の共有財産
男女ともお金は家族の共有財産であるとの認識です。個人の所有意識はあまり、ないようです。
(4)給料日
貯金する人もいますが、ほとんど使ってしまう人も多いです。給料日から1週間程度で、家族でショッピングモールなどに出かけて、買い物や食事を楽しみます。
日本では、少ない習慣かもしれませんが、世界では、このような考え方は、めずらくないです。
(5)テト
ベトナムの休日の代表格の旧正月にあたるテト。テトの期間中は、親せきが集まって宴会をしたりします。テト前になると、ベトナム人は家族で買い物に行って、大量の食材、調味料、お茶、お酒、お菓子などを買い込みます。また、手土産を買うのもこの時期です。貯金と言えばテトのお金を貯めることが多いとされています。
多くのベトナム人は、必要以上の預金をしません。所得が少ないということもありますが、将来のために過度な預金をせずに、今の楽しみのためにお金を使うようです。
ただし、これは、個人差があります。
(6)住宅
ベトナム人は、家を持つことが、一人前の男だと考えています。住宅購入のために頭金を貯めて、残りは親族から借入する形で購入するケースが多いです。
最近は銀行からの借入も増えてきましたが、親族からの借入が多い状況です。また、持ち家のタイプでは圧倒的に一軒家の人気が高く、マンションタイプは住居用ではなく、投資用として考える人が多いです。
ベトナムでは土地は国の所有物であるため、土地の使用権が権利として認められています。ベトナム人、ベトナム企業の場合は永久使用権があります。
(7)貯蓄
銀行に預けるベトナム人は少なく、資産家は現金を不動産や金(ゴールド)に変える傾向が強くあります。
ただし、直近のベトナムの総貯蓄率は、2021年に34.3 %をとなりました。前期2020年の 25.4 %と比べるとかなり増えています。理由は不明ですが、長い間、低い水準で推移していましたが、2020年と2021年の間のみ、大きな増加がみられました。(CEIC Global Database調べ)ベトナムの日常生活も変わりつつあるのかもしれません。