ベトナム人女性との国際結婚で、交際中など、ベトナム人の金銭感覚を知っておくことは、とても重要です。ベトナムでは、日本と違い、給料も上がり続けているので出費にも積極的な面があり、貯金や投資にも興味を持っている人が多くいます。
1.ベトナムの家計
家計とは、経済需要(消費)の最小単位です。日本貿易振興機構(ジェトロ Jetro)の2020年版ベトナム家計生活水準調査結果では、次のようになります。ベトナムの通貨、1ドンは、0.0050円としています。
<月間平均所得>
全国平均 21,150円
都市部 27,690円
農村部 17,400円
ハノイ 29,905円
ホーチミン 32,685円
このように、農村部とホーチミンでは、2倍弱の格差があります。ベトナムでは、1人暮らしであれば5万円ほどあれば、生活できて、地方なら、月に3万円あれば暮らしていけます。経済格差が大きいと言えます。
<最低賃金>
同じく、2021年のジェトロの調査(ハノイ・ホーチミン)によれば、
2016年 350万ドン
2020年 442万ドン
26.2%も上昇しています。ベトナムの賃金収入は、確実に増えています。
<インフレ>
世界のインフレ率ランキングによれば、ベトナムは次のとおりです。
2016年 2.668%
2021年 1.871%
インフレ率は、世界146位です。世界的に高い方ではありません。
日本は次のとおりです。
2016年 -0.124%
2021年 -0.256%
ずっと、デフレ状態です。2016年以前もそうです。
このように、所得は、まだまだ日本には届きませんが、賃金は、毎年、着実に上昇して、適当なインフレ率もあって、景気が上向きということが伺えます。
一方、日本は、所得が上がらず、デフレ状態で、景気がよくならないデフレスパイラルの状態のままです。基本給のベースアップもむずかしい状態が続いています。
2.ベトナム人の貯蓄
可処分所得とは、家計収入(個人所得)のうち、税金や社会保険料などを除いて、個人(世帯)が自由に使えるお金のことです。
同じくジェトロの統計調査によれば、ベトナムの耐久消費財の普及度ですが、家電の保有台数は、エアコンが2018年と比べ15.3%増の51%となりました。
洗濯機は9.6%増の54.3%、冷蔵庫は6.8%増の85.4%に。テレビは4.8%減の96.1%となりました。
自動車は1.5%増の4.8%と、依然として普及が進んでいませんが、二輪車は12.5%増となりました。
テレビは、ほぼ100%の家庭で保有されて、エアコンも50%ですが、自動車の所有が少ないのが特徴です。テレビ以外は、日本より所有がすすんでいないのがわかります。
自動車の普及がベトナムで、すすんでいないのは、ベトナムでは、交通量が非常に多くて、小回りの利くバイクが好まれていることと、排気ガスによる環境悪化対策として、車の購入抑制がかけられ、高額な税金が課されているためです。
このように、かなり耐久消費財の普及がすすんでいることがわかります。可処分所得から消費支出を差し引いた残りが「貯蓄」となります。このことから、貯蓄志向が強まっているのではないかと思われます。
ところが、独立行政法人国際協力機構(ジャイカ JICA)によれば、ベトナムで正規の金融機関の口座保有率は成人人口の約30.0%、他方、貧困層に限ると約20.3%。そのうち、金融機関に貯蓄ができている割合は約14.5%で、貧困層は、貯金志向が低いと報告されています。
ただし、収入が増え、適切なインフレで景気がよくなれば、可処分所得も上昇するので、今後の貯蓄志向の割合は、上昇すると思われます。
たしかに、日本が、世界的にも貯金率の高い国で、日本と比較するとどうしても、貯蓄感覚が低いということになります。
ただし、最近の貯蓄率の統計を見ると、日本の貯蓄率は低下傾向にあります。近い将来、ベトナムと日本の貯蓄率は、かなり近づいてくることが推測されます。
3.ベトナム人の投資
世界的に有名なニールセンの調査では、東南アジアのインドネシア、マレーシア、フィリッピン、シンガポール、ベトナムの6カ国の中で、ベトナム人が可処分所得を貯金にまわす比率が一番高い一方で、投資意欲の比率が一番低かったと報告されています。
ベトナムは、南北に長い国なので、北は、貯蓄志向が強く、南は低いと一般的に言われています。
一方で、銀行の預金金利はドン建てで、年利7%前後の金利が付きますが、銀行に預けるベトナム人は少なく、資産家は現金を不動産投資や金(ゴールド)に変える傾向があるようです。
ベトナム人は、家を持つことが、一人前の男だと考えています。住宅購入のために頭金を貯めて、残りは親族から借入する形で購入するケースが多いです。
最近は銀行からの借入も増えてきましたが、親族からの借入が多い状況です。また、持ち家のタイプでは圧倒的に一軒家の人気が高く、マンションタイプは住居用ではなく、投資用として考える人が多くなります。
ベトナムでは土地は国の所有物であるため、土地の使用権が権利として認められています。ベトナム人、ベトナム企業の場合は永久使用権があります。
投資の金銭感覚は、給料があがり、日本に比べれば景気もよいので、株式の運用、ファンドなどへ投資は、積極と思われますが、分散投資など手堅い金融商品に人気があるらしいです。株式であれば、手堅い銘柄に人気が集中するということでした。
4.ベトナム人の金銭感覚
ハノイなどベトナム北部では貯蓄をする習慣があります。子供の進学や家の建築の費用、ブライダル費用などです。
ホーチミンなどの南部は、給与が入ったら、使ってしまう傾向があります。あまり、貯金をしません。
日本が、世界的にも異常に貯金率の高い国で、日本と比較するとどうしても、貯蓄感覚が低いということになります。
結婚後は、毎月いくらと貯金額を決めてもいいかもしれません。積み立て預金がおすすめです。
男女ともお金は家族の共有財産であるとの認識です。個人の所有意識はあまり、ないようです。
そもそも、結婚願望があって、婚活中の交際時代は、あまり、デート中に貯蓄などの話は、恋愛ムードをだいなしにするかもしれませんので、ほどほどにしたほうがよいかもしれません。
なお、テトの時は、ベトナム人の財布のひもは緩くなると言われています。ベトナムの休日の代表格の旧正月にあたるテトです。
テトの期間中は、親せきが集まって宴会をしたりします。テト前になると、ベトナム人は家族で買い物に行って、大量の食材、調味料、お茶、お酒、お菓子などを買い込みます。
また、手土産を買うのもこの時期です。貯金と言えばテトのお金を貯めることが多いとされています。
やはり、貯蓄も投資も個人差があります。